2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740097
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 和義 北海道工業大学, 総合教育研究部, 助教授 (20316243)
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Keywords | 非線形波動方程式 / KSS不等式 / 時間大域解 / 解の正則性 / null condition |
Research Abstract |
本研究においては,種々の波動現象の基礎となる非線形波動方程式について初期値問題や境界値問題に取組み,なるべく一般的な非線形性で,広い解空間において主に解の時間大域的な挙動を研究することを目的としている. 最近ではKeel, SmithおよびSoggeによる外部問題への応用を契機として,KSS不等式と呼ばれる波動方程式に対する時空L^2評価が注目されるようになった.そのKSS不等式に関心を持ち,非線形問題への応用について考えている.このことに関し,波動方程式の初期値問題に対する正則性の低い解を論じる上でKSS不等式が有効であることを三重大・肥田野久二男助教授との共同研究として北海道大学プレプリントシリーズ#655(2004年7月)および数理解析研究所講究録1411(2005年1月)にまとめている. また,非線形連立波動方程式の初期値問題において広いクラスの非線形項を扱うことを目指し,和歌山大・片山聡一郎助教授との共同研究の結果を北海道大学プレプリントシリーズ#688(2005年2月)にまとめている.これは非線形波動方程式に対するnull-conditionと呼ばれる条件の一つの一般化を論じたもので,手法としては80年半ば頃から用いられてきた滑らかな解に対するKlainermanベクトル場の方法の一つの到達点であり,種々の有用な不等式が総合的に用いられている.この方面での研究の一つの区切りであり,今後の研究を進めていく上での基礎としたい.
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