2004 Fiscal Year Annual Research Report
高空間分解能数値シミュレーションによる銀河団ガスの運動状態の研究
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16740105
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
滝沢 元和 山形大学, 理学部, 助手 (70323160)
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Keywords | 銀河団 / 流体力学 / X線天文学 |
Research Abstract |
銀河団内でのサブストラクチャーの運動にともなうガスの進化をRoe TVD法を用いた三次元流体シミュレーションを行って調べた。サブストラクチャーが一定の速度で運動する場合には、周囲のガスとの境界にKelvin-Helmholtz(KH)不安定による渦状の構造が発生し、冷たいガスクラウドが後方へとんでいくのがわかった。視線方向に積分した場合、この構造はX線表面輝度分布よりもガスの大局的な速度分散でのほうが特徴がつかみやすい。またサブストラクチャーの前後に視線方向の速度分散の大きい領域があられれる。これらの構造は2005年打ち上げ予定の日本のX線天文衛星ASTRO-E2での良いターゲットとなるであろう。以上の結果はAdvances in Space Research誌で受理され、発表予定である。 さらに、より現実的な状況を再現するために、メインクラスターの重力ポテンシャル内でのサブクラスターの運動を解き、そこから得られたメインクラスターとの相対速度等の進化を考慮にいれてサブストラクチャー周囲のガスの進化を計算した。その結果以下のようなことが判明した。単純にメインクラスターの外側から中心へ落っこちて反対側へつき抜けるような場合では、KH不安定性はあまり成長せず、ガスの流れの構造は大局的なままである。一方、メインクラスターの中心付近を振動するような場合には、KH不安定性だけでなくRayleigh Taylor不安定性も良く成長し、数回往復するうちにサブストラクチャーのガスは周囲と混合し、乱流的な構造が現れる。以上の結果をまとめてAstrophysical Journal誌に投稿中である。
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