2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
釜谷 秀幸 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70314177)
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Keywords | 理論天文学 / 矮小銀河 / 星間物質 / 水素分子 / 原子銀河 / 赤外線 / 非線形物理学 / 星間塵 |
Research Abstract |
ガスリッチ矮小銀河の形成と進化を明らかにすることは、それ自体深い物理的考察の対象であるが、原始銀河形成の解明への一助となる意味で非常に意義深い。実際、綾小銀河におけるような金属量の小さい星間物質の進化を理解することは、まさに初期段階にある原始銀河の星間物質進化の理解に直接的な示唆を与える。このように、本研究課題は、現代宇宙物理学の根幹をなす。本年度は、特に、金属量の小さい星間空間における水素分子形成過程の再検討を行った。以前は、少しでも金属量のある、つまり星間塵のある環境においては、水素分子は星間塵上における形成が有効とされてきた。この理由は、気相での水素分子反応が遅いからではなく、星間輻射場により気相での水素分子の破壊のため形成自体が阻害されるためであった。しかし、ガスリッチ燈小銀河では、水素分子の破壊に効く輻射の平均自由行程が短くなる。このため、少しくらい星間塵が存在しても、気相中での水素分子形成が星間塵上での形成を凌駕できることが分かった。加えて、最終的な水素分子形成量には、今まできちんとその重要性が認識されていなかった、赤外線による水素分子破壊が重要となり得ることが判明した。この成果は学術論文としてまとめ、出版済みである。加えて、ガスリッチ媛小銀河の星間物質は、複雑系としての振る舞いをすることが指摘されているため、その非線形な振る舞いを再吟味した。特に、媛小銀河の重力ポテンシャルは浅いため、銀河本体からの質量離脱の効果を考慮した。その結果、質量離脱効率が大きい場合には、非線形的時間発展の発現が遅れることが分かった。
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Research Products
(2 results)