2005 Fiscal Year Annual Research Report
太陽X線小輝点を用いたコロナ領域微分回転速度場の研究
Project/Area Number |
16740119
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
原 弘久 国立天文台, 太陽天体プラズマ研究部, 主任研究員 (20270457)
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Keywords | 太陽コロナ / 微分回転 |
Research Abstract |
本研究は、太陽コロナ中の小輝点(XBP)の動きから太陽コロナ中の微分回転則を精度よく求め、下層の光球で評価されている回転速度と比較して、光球-コロナ間の磁場のつながりを理解したいというところから出発している。初年度には、解析環境を整え、XBPをようこう軟X線画像から抽出してデータベース化する解析ソフトを開発し、軟X線画像から微分回転速度場を求めるためのデータベース作成の途中まで終了した。2年度目には、解析環境を増強しながらデータベースの作成を終了し、その初期解析結果を日本天文学会で発表した。日面経度位置によらず回転角速度が一定であるという要請から、XBPの高さはH=10,000±2,000kmと決定された。回転角速度の導出については、多数検出されたXBPを簡単だが独特な方法を用いて統計処理した。2つの時刻T1,T2の軟X線画像から検出された全XBPを緯度幅5度ずつのグループに分け、この緯度幅内の全てのXBPペアを用いて太陽の回転方向に移動したものから角速度を高い統計精度(〜1m/s)で求めたのである。このときΔT=T2-T1の時間幅に対する回転速度を調査したところ、回転速度がΔTについて一定値ではなく、ΔTの関数になっていることを発見した。ΔTが20時間をこえるようなときは、回転角速度は一つ一つのXBPを長時間追跡して求めた欧州のグループと同程度の14.45deg/dayとなっているが、ΔTが小さくなっていくと有意に徐々に遅くなっている。これについては、XBPと関係する磁場が根付く光球面からの深さと関係があるのかもしれない。緯度方向の微分回転速度曲線については、光球磁場の動きから全く異なった手法で求められた回転速度曲線とよく合っており、異なる高さ間の磁場のつながりを想起させる。現在これまでの初期成果を論文にまとめているところである。
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