2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高精度位置天文観測による位置天文重力レンズ天文学の開拓
Project/Area Number |
16740120
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
本間 希樹 国立天文台, VERA観測所, 上級研究員 (20332166)
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Keywords | 高精度位置天文 / 位置天文重力レンズ / 銀河系 / メーザー源 |
Research Abstract |
第1次年次にあたる今年度は、位置天文重力レンズに必要な位置天文観測精度の実現性を確認するため、VERAの実観測データの精度評価を行った。具体的にはVERAで観測されたW49NとOH43.8-0.1というペアを約1年にわたって7回程度モニター観測し、その相対的な位置変化を計測した。その結果、2天体間の相対固有運動と思われる運動の検出に成功し、位置天文精度として0.1ミリ秒角程度の極めて高い位置計測精度が達成されていることが示された。この精度はすでに世界最高峰のレベルに達していると考えられる。 また、W49N-OH43.8-0.1観測を位置天文重力レンズ現象の探査に利用可能かを検討し、その結果、銀河系内メーザーを対象天体とした位置天文重力レンズ研究の可能性があることが示唆された。通常位置天文レンズは銀河面背後のクエーサー対象とするが、このような(たまたま銀河面背後にある)クエーサーの数は限られている。一方、銀河面内にふんだんにあるメーザー源を重力レンズ探査の観測対象とできれば、探査対象天体は飛躍的に増加する。このため来年度以降もこの可能性について調査を続け、実際にW49N方向での位置天文レンズ現象の存在についても探査する予定である。 また、位置天文重力レンズとは異なる副産物的な研究として、W49Nの観測期間中に発生したメーザーアウトバースト現象の検出に成功し、さらにバースト期間中のVLBI観測に基づいてバースト成分のW49N中における位置を初めて同定した。この結果は、2005年度の日本天文学会欧文報告として出版されている。
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