2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740122
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
田村 隆幸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙科学・情報解析センター, 助手 (00370099)
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Keywords | 銀河団 / X線放射 / 化学進化 / X線分光 |
Research Abstract |
平成16年度は、主にXMM衛星による銀河団の系統的な観測と解析を行った。20個近い銀河団のデータを解析し、重元素の組成比、特にO, Si, S, Fe,空間分布を調べた。その結果、以下の結果を得た。(1)Feの空間分布をこれまでにない精度の測定し、cD銀河のまわりでの増加が見られた。この起源としては、cD銀河での活発な星生成が考えられる。(2)Si, SについてもFeと同様な中心集中が見られた。したがって、Si-S-Feの比の空間分布は一様である。(3)対照的に、Oの組成比に空間変化は見られなかった。したがってO/Feの比は、銀河団の外側で増加する。これは、銀河団プラズマの中で、Oの起源が、Fe-Si-Sとは異なることを示している。 加えて、A478銀河団についても詳細な解析をおこない、高い精度で重元素の組成比の空間分布を測定した。 さらに、重元素のX線吸収線を用いることで、銀河団の外側に広がっていると考えられる「中温度銀河間ガス」の観測を試みた。ここでは、XMM衛星搭載のRGS検出器を用いて、「おとめ座銀河団」の外側を観測した。高電離したOの吸収線の兆候を見出し、フィラメント状に広がるプラズマの存在を示唆した。今後は、このような観測を系統的におこない、「中温度銀河間ガス」の温度や分布、さらにはその化学組成を分析する予定である。これには、XMM/RGSに加えて、2005年度に打ち上げが予定されている、Astro-E2衛星のXRS検出器を用いる。 また、本研究目的のためのAstro-E2衛星による観測についてその計画を提出した。
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Research Products
(3 results)