2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740122
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
田村 隆幸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助手 (00370099)
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Keywords | 銀河団 / X線放射 / 化学進化 / X線分光 |
Research Abstract |
X線観測衛星XMMおよび「すざく」を用いて銀河団データの解析をおこない、重元素量の分布を測定を中心に研究をおこなった。 「すざく」衛星を用いて銀河団データの解析に必要な検出器のレスポンスやバックグランドの較正をおこなった。またデータ解析のための手法を確立した。これによっていくつかの銀河団データの解析をおこない、銀河団ガスの温度分布や重元素量の空間分布を測定した。特に銀河団ガスからの酸素とマグネシウムラインX線については、初めて精度の良い測定が可能になった。これらに加え、珪素や硫黄、鉄の分布も測定した。銀河団の中心部では、鉄、珪素、硫黄の組成比が集中していた。これに対して酸素やマグネシウムは、銀河団全体で一様に分布していた。このすざくの結果は、本研究の前半でおこなったXMMの示唆を強くサポートするものである。この結果は、元素問でその起源が異なっていることを示唆している。我々は、次のようなシナリオを提示している。銀河団形成初期の爆発的で短い時間スケールでの星形成による重元素合成(酸素、マグネシウム)と長い時間スケールにわたるIa型の超新星および星の質量放出による重元素合成(鉄など)が銀河団ガスの中で異なった空間分布を作っている。これらの結果の一部(Fornax銀河団について)は、松下他として論文に投稿した。 これらに加え、銀河団の外に広がるより低温のガス(超銀河団ガス)の探査をおこなった。「すざく」衛星によって低エネルギーのラインX線(特に酸素イオンのライン)を精度よく測定できることを確認した。A2218銀河団については、超銀河団ガスの上限値をこれまでにない精度で求めることができた。その値は、宇宙の構造形成シミュレーションで予想されているミッシング・バリオンの値に近いものである。この結果は、竹井他として投稿した。またA2052銀河団にっいても同様の解析をおこない、超銀河団ガスの放射に制限をつけることができた。この結果は、国際学会で報告し、現在、論文を準備中である。 以上に加え、いくつかの銀河団データの解析結果を論文として投稿した。
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Research Products
(6 results)