2004 Fiscal Year Annual Research Report
Superstring Compactification with Flux
Project/Area Number |
16740133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川野 輝彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20292831)
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Keywords | 超弦理論 / M理論 / コンパクト化問題 / モデュライ問題 / Flux / Geometric Transition / 弦理論的現象論 / ミラー対称性 |
Research Abstract |
通常の開弦の世界面の境界を実数体からp進数体に置き換えたものをp進数体開弦理論と呼ばれるが,この理論は有効作用が厳密に知られているため,通常の弦理論のトイモデルとして弦理論の力学を理解する助けになってきた。特に,近年のタキオン凝縮の力学に関する知見を深めるために、このモデルは大きな役割を果たしたことが知られている。ところが、この理論は時空が平坦な場合に限り摂動論的に定義されており,この理論をいろいろな状況に拡張することが望ましい。このような見方から考察した場合には,この理論を曲がった時空やある種のフラックスに類似するような効果を取り上げる試みをすることは今後の弦理論の研究を進めるにあたり、価値のあることであろう。このような研究はこれまでのところ公表されたことはない。そこで、今回,私は,非自明な背景場のない平坦な時空以外で多分考えうる一番簡単な場合の一つである定数の2階反対称テンソルを背景場にもつ平坦な時空上のp進数体開弦理論をDebashis Ghoshal氏とともに考察した。通常の弦理論では、このような時空上で開弦理論を考えると,その有効作用は非可換な時空の上で定式化された理論になる。したがって,p進数弦理論の場合にも同じような非可換な効果が現れることが期待される。今回の研究では,形式的に2階反対称テンソル場への相互作用項に相当するであろうものを考えて,その効果を計算したところ、形式的には非可換な時空上での開弦理論になっているように見える。しかしながら,この相互作用項は、通常の弦理論の世界面にあるメゼウス変換に関する対称性に相当するものを破ってしまっているために,あまり好ましいものではないことがわかり、その項による有効作用への効果は非可換な効果を生み出すだけではなく,さらに他の非局所的な項を生成してしまうことも明らかになった。
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