2005 Fiscal Year Annual Research Report
Superstring Compactification with Flux
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16740133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川野 輝彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20292831)
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Keywords | 超弦理論 / M理論 / コンパクト化問題 / モデュライ問題 / Flux / AdS / CFT対応 / a-Maximization / 弦理論的現象論 |
Research Abstract |
スピン表現とベクトル表現を物質場に持つ超対称N=1 Spin(10)ゲージ理論を考察した。 この理論は,以前行った研究から,ある数の物質場が導入された場合には,低エネルギーにおいてSuperconformal Fixed Pointにフローしていると考えられているNon-Abelian Coulomb Phaseになると考えられているモデルである。それゆえ,低エネルギーでは,Superconformal対称性を用いることができるが,残念ながらこれまでの研究では,このモデルが,R-symmetryを含めて,二つのアノマリーを持たないU(1)対称性が理論に存在したために,Superconformal代数のR-symmetryを決めることが,不可能であったため,Superconformal対称性を十分に活用することが出来なかった。Intriligator氏とWecht氏が最近提唱したa-maximamizationは,このようなモデルに対して,Superconformal代数のR-symmetryを決める方法である。また,以前の研究から,このモデルにはある種の双対性があると考えられており,強結合領域をよく記述できる双対なモデルの存在が知られていた。この双対性にa-maximamizationを併せて使うことで,これまでよく理解されていなかった,この理論の低エネルギーでのFixed Pointにおける物理を明らかにすることが出来た。特に,どのゲージ不変なオペレータが,Superconformal対称性の帰結として,低エネルギーで自由場になるとほぼ決定できた。 このことは,また,今考えている理論から異なるSuperpotentialをもつ理論に低エネルギーに向かってフローしていることを意味しており,そこで自由になる場が高エネルギー領域Superpotentialにもっている質量項が低エネルギーに向かって小さくなることを示唆していることがわかった。 しかしながら,このような現象はこれまでの経験則と直感的にそぐわない面もあり,更なる検証が必要であると考えている。
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