2004 Fiscal Year Annual Research Report
HERMES反跳粒子検出器を用いた一般化されたパートン分布関数の精密測定
Project/Area Number |
16740135
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮地 義之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50334511)
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Keywords | 反跳粒子測定 / 一般化されたパートン分布 / 深部仮想コンプトン散乱 / HERMES / DESY-HERA / Hard Exclusive生成過程 / 核子スピン構造 / クォーク軌道角運動量 |
Research Abstract |
平成17年度8月の実験エリアへの設置を目指し、反跳粒子検出器の建設、設置準備がすすめられてきた。検出器はおおきく3つのモジュールからなるが、それぞれのモジュールごとに実験の行われるDESY研究所に持ち込まれ、くみ上げ、標準線源、宇宙線を利用したテスト実験がおこなわれている。 核子スピンを構成するものとして、クォークとグルーオンのスピン、それらの軌道角運動量があげられる。これまでに行われてきた深非弾性散乱実験は、クォークのスピン成分が全体の20%程度である事を明らかにした。摂動論的QCDはクォークとグルーオンの全角運動量がそれぞれ50%づつ分担する事を示唆している。クォークの軌道角運動量成分を実験的に決定する方法としては一般化された分布関数の測定、Siversクォーク分布関数の測定等が提言されている。 今年度、HERMESでは横偏極核子標的を用いた深非弾性散乱実験により、Siversクォーク分布関数と"Transversity"の測定がすすめられてきた。実験ではそれぞれの分布関数に関連する断面積非対称度の測定をおこなった。有意にゼロではない非対称度が得られており、クォーク軌道角運動量導出を目指して現在さらなる解析がすすめられている。 またHard Exclusive生成過程の研究も同時にすすめられている。Hard Exclusive生成過程で生成されるパイ中間子は、一部の一般化されたクォーク分布関数に関する情報を含む。来年度以降におこなわれる反跳粒子検出器を用いた測定にむけて、測定された実験データーの解析をおこなってきた。
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