2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 貴浩 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40281117)
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Keywords | ブレーンワールド / ガウスボンネ / 宇宙論的摂動論 / ブラックストリング / de Sitter時空の不安定性 |
Research Abstract |
(1)ブレーンワールドにおける宇宙論的摂動論の定式化と具体的な評価。 特に種となる量子揺らぎの初期条件を高次元時空における適当な真空に選んだ場合にどのような揺らぎのスペクトルになるかを数値的に調べた。その結果、スローロールインフレーションでは、乱暴な4次元の有効理論による記述が実は非常に良い近似を与えることが明らかになった。しかし、何故、そのような乱暴な近似が良い精度で正しい答えを与えるのかについては今後の研究課題である。 (2)ガウスボンネ重力におけるブラックストリング解 ブレーンワールドのモデルをガウスボンネ重力へ拡張すると、kmスケールで重力が変更を受けるようなモデルが原理的には可能になる。重力波干渉計がターゲットとする重力波の波長とこのクロスオーバーのスケールが符合しているので、このモデルにおけるブラックホールを調べることでモデルに制限を与えることができる可能性がある。そのような観点でブラックホール解を構成し、その性質を調べた。 (3)de Sitterブレーンワールドにおける量子効果 De Sitter時空中でmassless scalar場の量子論を考えると、de Sitter不変な真空が病的な振る舞いをすることが知られている。この病的な振る舞いはde Sitter不変でない真空を選ぶことで回避できるが、長時間経つと揺らぎが発散するという性質は避けられない。詳しいことは説明する余裕がないが、この性質がブレーンワールドになった場合にはより深刻ではないかと考えられる理由がある。そこで、簡単なモデルを用いてde Sitterブレーンワールドでmassless scalarが現れる場合の2点関数の振る舞いについて調べた。その結果、通常の別の真空を選ぶという処方では病的な振る舞いを回避することができないことがわかった。
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