2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740141
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 貴浩 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40281117)
|
Keywords | ブレーンワールド / ミニブラックホール / 宇宙論的摂動論 / ゴースト / 宇宙項 / ホーキング輻射 |
Research Abstract |
(1)ブレーンワールドにおける宇宙論的摂動論の定式化と具体的な評価。 特に種となる量子揺らぎの初期条件を高次元時空における真空に選んだ場合に、どのような揺らぎのスペクトルになるかを数値的に調べた。その結果、スローロールインフレーションでは、4次元の有効理論による記述が実は非常に良い近似を与えるのにたいして、インフレーション後の発展はそれとは大きく異なることをしめした。特に、初期条件として量子論的に正しいカルザクラインモードの量子ゆらぎをきちんと取り入れた取り扱いをしなくても、10%程度の精度での評価が可能であることを明らかにした。 (2)ブレーン上で生成されたブラックホールのブレーンからの離脱現象 ブレーン重力では基本となる重力のエネルギースケールが低くなりえる。このような場合に加速器で到達可能なエネルギー領域でのブラックホール生成が可能であると指摘されている。こうして生成されたブラックホールはホーキング輻射によりプランク分布のエネルギースペクトルを持つ粒子放出をして蒸発すると考えられている。しかしながら、我々はブラックホールがホーキング輻射の反眺によりブレーンからすり抜けることが可能であることを明らかにした。このブラックホールのブレーンからの離脱がおこるとホーキング輻射が突然止まるということがおこり、離脱が起きたかどうかは観測的に決定することができる。また、そのときのブラックホールの温度がブレーンの張力と結びつくことを明らかにした。 (3)ゴーストを含まない加速膨張するブレーンモデルの構成 DGPブレーンワールドモデルは宇宙項によらない加速膨張解をもつがゴーストを含む。加速膨張解を持つという性質を変えずに、このゴーストを消すようなモデルの変更をおこなうことが可能であるかを調べた。
|