2004 Fiscal Year Annual Research Report
高温パートン物質中のベクトル中間子の電子対崩壊測定によるハドロン質量起源の研究
Project/Area Number |
16740148
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
志垣 賢太 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70354743)
|
Keywords | 高エネルギー原子核衝突 / 量子色力学相転移 / パートン非束縛相 / カイラル対称性 / ハドロン質量 |
Research Abstract |
米国ブルックヘブン国立研究所RHIC加速器PHENIX実験において、核子間衝突エネルギー【square root】_<SNN>=200GeV(RHIC加速器最高エネルギー)における金原子核-金原子核衝突反応の高輝度高統計データを収集した。RHIC加速器の性能向上、PHENIX実験のデータ収集能力向上、およびPHENIX実験の希事象選択トリガを駆使し、積分輝度約240μb^<-1>(既存データの約10倍)のデータ収集を達成した。これまでの研究成果から、RHIC加速器のエネルギー領域における金原子核-金原子核中心衝突事象では高温パートン物質の生成が確実視される。収集した高統計電子陽電子対事象データを用いて、高温パートン物質中における軽いベクトル中間子(φ、ω、ρなど)の収量、質量状態、崩壊寿命、各崩壊チャンネルへの分岐比などの精査により、カイラル対称性の部分的回復およびハドロン質量起源の解明を目指している。軽いベクトル中間子測定に特化した電子同定法最適化を目的に、金原子核-金原子核および重陽子-金原子核衝突データを用いて予備解析を推進した。また、比較対照過程の一つとなるφ中間子のK中間子対崩壊測定結果をPhysical Review C誌に投稿した。一方、実験データの解釈のためには関係する物理過程の理解と理論計算の助けを得た模擬計算が必須である。広島大学大学院理学研究科附属の高エネルギー物理学データ解析実験施設およびスーパーサイネット接続の1Gbps高速データ転送ネットワークから成る地域分散処理型データ解析環境を活用して実験データ解析と模擬計算を並行して推進するために、データ解析環境を整備し、必要な計算機およびネットワーク通信設備の占有部を増強した。
|
Research Products
(6 results)