2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740153
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
西田 昌平 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (20370075)
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Keywords | 素粒子 / 高エネルギー / B中間子 / CP対称性 / 輻射崩壊 / 稀崩壊 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、B中間子の輻射崩壊測定のため、Belleで収集された350/fbのデータを用いて、輻射崩壊の終状態の研究を行った。その中で、b→dγ過程を経る崩壊であるB→ργ、ωγの信号を示唆する結果が得られたため、まずはこの過程を集中的に研究を行った。b→dγ過程はこれまで未発見の過程であり、小林益川行列の成分である|Vtd/Vts|の測定、及び標準理論を超えた新しい物理の探索に極めて重要で、長い間探索されてきた過程である。Belle実験で以前行われていた解析に比べてee→qqコンティニュウム過程によるバックグラウンドを効率的に落とすため、事象の形状などの情報をより効果的に利用するなどの解析の改良を行った。その結果、最終的にB→ργ事象を37事象確認し、分岐比を(1.33+0.34-0.31+0.10-0.09)x10^{-6}と測定することができた。これはb→dγの初めての観測である。この結果は夏のLepton Photon国際会議に発表されるとともに、新聞でも取り上げられることになった。今後は、さらにデータを増やしCPの対称性を経た偏極度の測定を検討したい。 一方、その他の様々な終状態についてもデータを用いて再構成し、シミュレーションとの比較を行った。今回の研究では、Kππ終状態を用いるわけではあるが、他の終状態の輻射崩壊の寄与を無視できないため、その寄与をシミュレーションで見積もる必要がある。この度行った比較はこの寄与の精度を高めるためのものである。今後は、Kππ終状態を様々な共鳴状態に分離することで、光子の偏極度測定を進める予定である。
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