2004 Fiscal Year Annual Research Report
弦理論における行列模型を用いたタキオン凝縮の解析と時空の幾何
Project/Area Number |
16740159
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関 穣慶 京都大学, 大学院・理学研究科, 研究員(COE) (60373320)
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Keywords | 余剰次元 / 正の宇宙定数 / Gauged Linear Sigma Model / 超多様体 / グラスマン数 / D-ブレイン |
Research Abstract |
本年度は、主に次の二つのテーマについて研究を行った。 (1)余剰次元から正の宇宙定数を実現する理論の構築(プレプリントhep-th/0404121) もともと弦理論は余剰次元を持つ理論であり、時空を物理的観点から捉えようとするとき宇宙定数は重要なパラメータである。これらのことに関連して、我々はディリクレ境界条件を満たすコンパクトな余剰次元を持つモデルを考えた。真空エネルギーをほぼ宇宙定数と同一視すると、余剰次元から現れるカルツァ-クライン粒子によって正の宇宙定数が実現されることを示した。 (2)超多様体上の弦理論(プレプリントhep-th/0503074、雑誌投稿中) 超対称ヤン-ミルズ理論と超多様体上の位相的弦理論の対応関係が最近発見された。これに動機づけられ、我々は超多様体上のGauged Linear Sigma Model(GLSM)の研究を行った。今まではターゲット空間を表す多様体として主にグラスマン偶な座標しか考えられて来なかったが、超多様体はグラスマン奇な座標も導入するものであり、これは空間概念の大きな拡張となっている。そこで我々は超多様体上の弦理論を調べるための道具としてGLSMを用いた。 まず、超多様体をターゲット空間に持つU(1)ゲージ群のGLSMを構築した。そして、この理論の真空構造を調べ、真空多様体がランダウ-ギンツブルグ オービフォールドになる相などが現れることを明らかにした。超多様体内のオービフォルドは、将来、閉弦タキオン凝縮に応用できるかもしれない。また、2次元世界面の境界に於ける超対称性の解析から、超多様体内に埋め込まれたD-ブレインの存在可能性を示した。 次に、非可換ゲージ群を持つGLSMや(0,2)超対称モデルの構築も行なった。ここで、非可換ゲージ群のモデルでは場を行列で表すことで時空がグラスマン多様体になっていることがわかる。
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