2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁性金属/誘電体・半導体界面における構造とスピン偏極率
Project/Area Number |
16740162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長尾 和多加 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00361197)
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Keywords | 表面・界面 / 第一原理計算 / スピントロニクス |
Research Abstract |
Co_2CrAl/GaAs(110)ヘテロ接合系では界面におけるハーフメタル性がみられるが、 Co_2CrAlの自由な(110)表面は全くハーフメタル性を示さない。つまりこの界面のハーフメタル性は、 GaAs(110)面の特性に大きく依存しているようである。そこで本研究ではGaAs(110)面の電子状態を調べ、界面のハーフメタル性に関する二つの因子を特定した。ひとつは、(110)界面には2つの異なる原子位置(Ga及びAs原子位置)があるため、フェルミエネルギー付近の局在した少数スピン状態は分裂し、ギャップを作る傾向があること、そしてふたつ目は、 GaAs(110)面の構造緩和が少数スピンギャップを著しく広げる効果をもつことである。 特に注目すべきは、このギャップを作り易いという特徴がGaAsの自由な(110)表面でも見られる点であった。つまり、(ハーフメタルと接合する)相手物質の自由表面の性質を調べれば、界面のハーフメタル性をある程度予測できることになる。この解釈に従えば、他のハーフメタルをGaAs(100)面と接触させても高いスピン偏極率が期待できるはずであり、そして事実、我々は幾つかのホイスラー合金に対してそれを確認した。また、自由表面でギャップを作りにくいGe(110)面をCo_2CrAlに接合した場合は、界面でもスピン偏極率が落ちるなど、やはり表面と類似した振舞いがみられた。これらの所見は、今後ハーフメタリックな界面を探す上で大きな指針となる。
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