2004 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット・カーボンナノチューブの量子輸送現象に関する理論的研究
Project/Area Number |
16740166
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉田 渉 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20372287)
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Keywords | 量子ドット / カーボンナノチューブ / 電子相関 / 近藤効果 / アハロノフ・ボーム効果 / 朝永ラッティンジャー流体 / 電子格子相互作用 |
Research Abstract |
量子ドット・カーボンナノチューブにおける諸現象について、以下の研究を行った。 量子ドットにおいて、近藤効果が多くのグループにより観測されている。近藤効果が起こると、伝導はコヒーレントになると期待される。このような観点からドット内包アハロノフ・ボーム(AB)回路は大変興味深い。ドット内包AB回路をモデル化し、数値繰り込み群法をもちいて数値計算を行った。ドット内の電子軌道エネルギーをゲート電圧により変化させ、ドット内の電子数が0⇔1⇔2と変化する際以下の結果が得られた。0⇔2への変化の際に、AB振動の位相はπだけシフトする。さらに電子数が1の領域では、近藤効果を反映してドットとリードが強く結合し、AB干渉に高調波成分が重要になることがわかった。 ナノチューブを両電極間で吊るした構造の伝導特性測定が幾つかの研究グループでなされている。ぶら下がり領域では電子が格子と強く結合すると考えられる。ナノチューブにおいて、TL流体を出発点とした微視的モデルによる理論展開を行った。ナノチューブ方向の格子振動(ストレッチングモード)と電子との相互作用の結果、状態密度にフォノン吸収/放出に相当するピーク構造が現れることがわかった。さらに、ブリージングモードが電子と結合することにより、電荷密度の速度が遅くなる。この結果、電子系とストレッチングモードの有効的な結合が大きくなる。電子系とストレッチングモードの結合が強くなると、系はウェンツェル・バーディーン(WB)特異性と呼ばれる不安定状態へと近づく。状態密度におけるフォノンピークは特異点近傍でパラメータ変化(ナノチューブ径,電子占有数など)に敏感であり、大きなフォノンピークが期待されることがわかった。
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Research Products
(2 results)