2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740167
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 修一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30282685)
|
Keywords | スピンホール効果 / ベリー位相 / スピントロニクス / フォトニック結晶 / スピン軌道相互作用 / p型半導体 / 電気分極 / ゲージ場 |
Research Abstract |
外部電場印加によりスピン流が発生する効果(スピンホール効果)について、本年度はいくつかの基本的な側面を研究し明らかにした。まずp型半導体でのスピンホール効果の性質について、SU(2)ゲージ場との関連から議論した。またp型半導体の場合については不純物が入ってもスピンホール効果はそれほど影響されないことを明らかにした。これはヘテロ構造n型半導体とは対照的である。またスピンホール効果がどのような系で起こりうるかを議論し、バンド絶縁体でもスピンホール効果が起こる可能性があることを提唱して、ゼロギャップ半導体(HgTe等)やナローギャップ半導体(PbTe等)でモデル計算をしてスピンホール効果の値を見積もった。 またスピンホール効果で、電子の代わりに光を考えることによって、「光のホール効果」が出ることを提唱した。屈折率が空間的に変化しているときには、通常は幾何光学によって屈折の仕方を計算することができるが、「光のホール効果」はそれに対してのベリー位相に起因した補正を与える。界面での屈折・反射におけるImbert shiftと呼ばれる光路のずれはこの効果で説明できる。このずれは波長程度で非常に小さいが、本研究代表者らの研究により、フォトニック結晶を構成することでこの効果を何桁も増大できることが分かった。 ベリー位相に起因した現象として、外部パラメータ(圧力、外場など)を変化させることにより電気分極が発生することが知られているが、本研究代表者らの研究により、外部パラメータの空間を考えるとこの電気分極の応答に幾何学的な意味づけをすることができる事が分かった。これに基づき、有機強誘電体などで分極の値を計算したり、またどのようなパラメータ変化が大きな分極応答を与えるかを見積もったりする方法を与えた。
|