2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 修一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30282685)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / スピンホール効果 / スピン流 / エッジ状態 / グラファイト |
Research Abstract |
電場でスピン流を誘起する効果(スピンホール効果)について、本年度の成果は次の2つに大別される。第一には不純物効果について、ケルデシュ形式を用いて一般的な定式化を行った。それにより、スピンホール伝導度が不純物存在下でも残るかどうかについての一般的な基準を確立し、またラシュバ模型などの代表的な模型について、スピンホール伝導度を計算した。第二に、絶縁体でありながらスピンホール効果を示す「量子スピンホール系」について、スピンホール伝導度が帯磁率に比例することを示し、いくつかの模型について計算を行い、エッジ状態との関連を示した。その結果、ビスマス等の物質が量子スピンホール効果を示しうることを結論した。スピンホール効果はいまだに理論に対して実験が非常に少なく、上記のような、実験に直接関連付けられる理論研究が重要になりつつある。特に量子スピンホール効果を示すような現実的な模型は今まで知られておらず、これが例えばビスマス系で実現できれば大きな前進となる。 また上記の問題とも関連して、グラファイトやカーボンナノチューブにおけるエッジ状態について調べた。第一には強い束縛された電子模型において、従来の最新接相互作用に加えて、次近接相互作用を入れる計算を行った。従来はエッジ状態はちょうどフェルミエネルギー上にあったが、次近接相互作用によりエッジ状態のエネルギーは20meV程度低下し、これは実験とよく合う。また第二に、こうしたエッジ状態を、ゲージ場を入れた連続模型を用いて定式化し、他の計算と整合する結果を得た。
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Research Products
(6 results)