2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 誠 東京大学, 物性研究所, 助手 (40361662)
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Keywords | テラヘルツ電磁波 / フェムト秒パルスレーザー / 半導体表面 / 金属絶縁体転移 / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
1年目に相当する本年は、主にテラヘルツ光源開発の段階で、新しい知見が得られた。 Applied Physics Lettersに掲載された2編の論文は、半導体表面にフェムト秒パルスレーザー照射によって生成されるテラヘルツ波の強励起下における放射機構を解明したものである。高強度のテラヘルツ波を得ることは、分光用の光源として使う上でも重要であり、そのためにも放射機構の解明は意義がある。また、これまで、強励起・磁場下での系統的な研究はされていなかった。 磁場下でのInAs表面からのテラヘルツ波測定においては、励起強度依存性で、励起強度が1uJ/cm^2付近において奇妙な振る舞いを示すことが観測された。これは、磁場によって誘起されるテラヘルツ波波形の位相成分が、励起強度によって反転することから生じていることがわかった。この位相の反転は、弱励起下と強励起下において磁場によって誘起される放射機構が変化していることを表している。弱励起の際には、表面蓄積層電子からの放射であり、強励起下では光デンバー効果による拡散電流であることを示した。 InP表面からの放射では、励起強度の増加に従い、放射成分の高周波化と放射波形の位相の反転が観測された。さらに測定試料を回転させて結晶方位依存性を測定することにより、強励起下では、光整流効果による放射が支配的であることが確認された。また、結晶方位依存性のオフセット成分が弱励起下と強励起下では符号が逆向きであること、また磁場下にて放射波形の位相成分が反転していることから、放射に寄与している過渡電流が異なっていることを明らかにした。InPにおける放射機構は、弱励起ではドリフト電流による過渡電流効果、強励起では光デンバー効果(拡散電流)と光整流効果と、励起強度によって主要な放射機構が変化していることが分かった。
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Research Products
(2 results)