2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740171
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小川 佳宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50372462)
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Keywords | 磁性半導体 / 磁化誘起第二高調波発生 / (Ga, Mn)As |
Research Abstract |
III-V族希薄磁性半導体はスピントロニクス分野において基礎、応用の両観点から、盛んに研究がなされている。なかでも(Ga,Mn)Asは、最高150Kという比較的高温の強磁性転移温度や、既存の半導体素子との整合性などから、特に注目されている。III-V族希薄磁性半導体の強磁性発現機構は、正孔とMnスピンの相互作用が関与していることはわかっている。しかしながら、いまだ完全な理解が得られていないのが現状である。 正孔とMnスピンの相互作用を観測する手段として、円偏光の励起光を照射することによりスピン偏極したキャリアを注入し、Mnスピンの磁化のダイナミクスを磁気光学カー効果により観測する方法(時間分解磁気光学カー効果)がある。実際にこの方法を用いて、いくつかのグループにより(Ga, Mn)AsのMnスピンダイナミクスが測定されている。しかしながら、スピン偏極した光キャリアによっても磁気光学カー効果が起こるため、Mnスピンのダイナミクスの解析には困難が伴う。本研究では、磁化誘起第二高調波発生をプローブとして(Ga,Mn)AsのMnスピンダイナミクスを観測する方法(時間分解非線形磁気光学カー効果)を確立した。第二高調波をプローブとしてもちいると、励起光によって注入されるスピン偏極キャリアによる影響を受けずに、Mnスピンダイナミクスを観察できることがわかった。さらに、(Ga, Mn)AsのMnスピンは励起光パルスの時間幅である200fs以内の時間でスピン偏極した光キャリアと相互作用していることを見出した。 そこで本年度は、200fs以内の時間応答を観測するために、時間幅20fsの超短パルスレーザーを用いた時間分解測定系の立ち上げを行った。
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