2004 Fiscal Year Annual Research Report
表面局所励起電子および基板励起電子の伝搬による半導体表面上の選択的エッチング過程
Project/Area Number |
16740172
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
首藤 健一 国立大学法人横浜国立大学, 工学研究院, 講師 (40300876)
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Keywords | 表面 / シリコン / エッチング / 光励起 / 超短パルスレーザー / 脱離 / 構造変化 / 非平衡 |
Research Abstract |
塩素を吸着したシリコン表面で、時間幅がpsecの超短パルスレーザー照射による脱離と表面の構造変化を調べた。脱離にはパルスカウント型超高感度質量分析気を用い、光照射から脱離生成物の検出に至る時間分布を得た。光強度依存性の結果から、多重励起で脱離が生じている事を明らかにした。下地シリコン結晶中の熱電子が表面で散乱して、表面吸着種の変位を引き起こしている事を示唆する。また、飛行時間分布の温度依存性から、脱離は非平衡状態で発現する現象であり、熱的に生じてはいない事を明らかにした。飛行時間分布は脱離種によって異なる過程が有った。これらの過程は表面の構造に対応していると解釈すると得られたデータを自然に解釈できる。即ち、光励起脱離現象のエネルギー伝搬過程は表面の局所構造によって特異的に起きている事を示唆する。nsecのパルスレーザーでは熱的平衡になるのと同程度の時間で光励起している為に、熱的現象と非平衡電子の現象とが区別できないが、本研究では原子の移動より早い時間の励起を瞬時に行う事によって電子選択的な過程が有る事を確認できた。 また比較の為、高温で熱的エッチングも行った。塩素吸着シリコン(111)を600℃程度に加熱して、走査トンネル顕微鏡で実時間観察をした。その結果、初期には表面の荒さが原子レベルで増大すると同時に所々に点状の窪みが発生している事が分かった、この窪みには清浄表面とは異なるダングリングボンドがあることが光学測定で明らかとなった。この点状の窪みは拡散しながら融合し、大きなピットを生成し、この縁から清浄表面のDAS構造へと再構築されている事が分かった。
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