2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740176
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
米田 安宏 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・構造物性研究グループ, 研究員 (30343924)
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Keywords | X線トポグラフィ / PDF解析 / コヒーレントX線 / 高エネルギーX線 / ドメイン構造 / 強誘電体 / チタン酸バリウム / チタン酸ビスマス |
Research Abstract |
強誘電体のドメイン構造に誘起される新たな物性を明らかにするため、高エネルギーX線を用いたPairDistributionFunction(PDF)法と高コヒーレントX線を用いたX線トポグラフィによって構造解析を行った。PDF解析では強誘電体の局所構造がわかり、X線トポグラフィではドメインコンフィグレーション(ドメイン構造)がわかる。すなわち、両者を組み合わせることによってドメイン構造によって誘起された強誘電体の平均構造からのずれを明らかにすることができる。 本年度は、同一のサンプルに対して、両者を組み合わせる段階にまで達してはいないが、それぞれの手法を個別に用いることによって、成果を得ている。現段階ではPDFとトポグラフィの摺り合わせが完全ではないが、実験を通じて改良しており、来年度以降に同一サンプルに対し適用する予定である。 PDF解析の対象としてチタン酸ビスマスを用いた。PDFは結晶のみならず、液体やアモルファスに対しても適用できるという特徴をいかして、アモルファス状態からの結晶化過程を明かにした。液体から結晶まで同じ実験を行い、同じ解析手法によって解析が行えるため、これらの結果は結晶成長過程の解明に役立てられると考えている。 X線トポグラフィでは、ドメイン制御を行ったサンプルに対する応用実験を行った。チタン酸バリウムに不純物であるストロンチウムを添加することによって欠陥を生成し、その欠陥によってドメインの広がりが抑えられるため、微小なドメインが形成される。このドメイン構造が生じるローカ1ルな歪は結晶全体に伝搬し、平均構造を歪めていることがわかった。このような局所構造による格子歪が結晶全体に伝わるという結果はドメインエンジニアリングの際の重要な情報である。
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Research Products
(2 results)