2004 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算とモデル計算を併用した高効率光誘起相転移物質の理論的探索
Project/Area Number |
16740181
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川本 徹 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (00356859)
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Keywords | 光誘起相転移 / イジング模型 / モンテカルロ / スピンクロスオーバー / シアノ架橋錯体 / プルシアンブルー / ナノ微粒子 / 動的相転移 |
Research Abstract |
光誘起相転移の定量的解析を目的として、理論中心の研究に加え、実験との協力も密接に行った。理論中心の研究では、光誘起相転移物質に不純物を入れた場合、相転移がより弱い光照射下でも、素早く実現することを、イジング模型のモンテカルロシミュレーションにより明らかにした。この結果は、分子磁性国際会議(ICMM04)で発表し、Polyhedronに論文掲載予定である。 実験家との共同研究では、名古屋大学守友浩助教授との、光照射下の動的相転移の研究と、山形大学栗原正人助教授及び北陸先端大山田真実助手との、シアノ錯体ナノ微粒子に関する研究を行った。前者においては、スピンクロスオーバー型錯体に光照射した際に、光強度によって劇的に状態が変化する動的相転移について、理論的解析を行った。また、この実験解析を基にして、理論的に、どのような状況の場合に動的相転移が起こるかを明らかにした。この結果は、Journal of the Physical Society of Japan及び、Journal of Luminescenceに論文が掲載された。 後者については、光誘起磁性を示す鉄コバルトシアノ架橋錯体のナノ微粒子を合成し、磁化測定(温度変化)等を行っている。光誘起相転移は、温度誘起相転移を示す物質で多数見つかっているため、まず温度変化に関して研究を進めている。これに関連して、ナノ微粒子における相転移挙動がバルクのそれとどのような違いがあるかを、イジング模型のモンテカルロシミュレーションによりしらべた。結果として、光誘起相転移の挙動は粒径及び形状に大きく依存し、球状微粒子と、立方体状微粒子では、温度相転移挙動の粒径依存性が異なることを明らかにした。この結果は日本物理学会で発表し、現在Chem.Comm.に論文投稿中である。
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Research Products
(5 results)