2005 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算とモデル計算を併用した高効率光誘起相転移物質の理論的探索
Project/Area Number |
16740181
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川本 徹 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (00356859)
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Keywords | 光誘起相転移 / ナノ粒子 / イジング模型 / モンテカルロシミュレーション / 第一原理計算 / スピン転移 |
Research Abstract |
本研究課題については、実験家との緊密な連携が必要であり、北陸先端大山田真実助手、山形大学栗原助教授と緊密な連携を確立できたシアノ錯体ナノ粒子の光誘起相転移に議論を特化した。本物質は、各種外的刺激による応答がナノ粒子の周りを覆う配位子に依存することが実験的に明らかとなった。我々は効率的に光誘起相転移を示すナノ粒子を探索するために第一原理計算とモデル計算を併用し、そのメカニズムを明らかにした。モデル計算ではイジング模型のモンテカルロシミュレーションを用いて非か利照射下での相転移特性を明確にした。結果として、ナノ粒子全体の光応答特性が粒子の表面の状態に大きく依存することを明らかにした。特に光誘起相転移を実現する光強度閾値が表面の状態に大きく依存することを明確にした。一方、第一原理計算では量子科学計算の手法を用いて、配位子の置換による、高スピン状態と低スピン状態の相対的安定性がどのように変化するかを計算した。実際に表面を保護する分子を置換することにより表面のスピン安定性が変化することを明確にした。この結果は実験で得られているものと一致しており、計算によって、スピン転移の挙動を予測できることが明らかになった。この結果はChemical Communications誌と、Journal of Physics : conference seriesに論文が掲載されたほか、文部科学省特定領域研究分子スピン主催の研究会で招待講演を行った。
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Research Products
(3 results)