2004 Fiscal Year Annual Research Report
一軸応力下微視実験による強相関f電子系の新奇な磁性と超伝導の制御
Project/Area Number |
16740186
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
横山 淳 茨城大学, 理学部, 助手 (70361285)
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Keywords | 重い電子系 / 中性子散乱 / 一軸応力 / 超伝導 / 物性制御 |
Research Abstract |
本年度は、重い電子系反強磁性体のうち圧力誘起超伝導を示す典型物質であるCePd_2Si_2の結晶歪みと反強磁性の安定性を調べるために、まず大型で純良な単結晶を作成し、その後一軸応力下中性子散乱実験を初めて行った。この結果、超伝導を誘起させるために必要な反強磁性の抑制に、静水圧で主に制御できる体積歪みの他に結晶を変形させる歪みが深く関わっていることを発見した。また、この実験によって一軸応力下における反強磁性の温度-圧力相図をほぼ完成させることができた。この相図を元に過去の静水圧下の実験結果を比較すると、この系では体積歪みと格子変形の歪みの両方の効果によって反強磁性が抑制され、超伝導が誘起されていることがわかる。現在、上記の実験結果を公表する準備中である。またさらに詳しい実験によって、重い電子系における反強磁性と超伝導の制御において一軸応力が有効であることを確かめていきたい。 さらに、今年度は重い電子系物質URu_2Si_2が示す「隠れた秩序」と反強磁性の競合状態のメカニズムを解明するために、これまでに引き続き一軸応力下中性子散乱実験を行った。これらの結果、2相を制御するパラメータとして正方晶の格子定数比が深く関わっていることがより確かめられ、さらにこの結果を基にした置換系における中性子非弾性散乱実験では隠れた秩序の起源として軌道秩序の可能性が高いことを明らかにした。この結果は現在、論文として投稿中である。
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