2005 Fiscal Year Annual Research Report
不純物効果を利用した、銅酸化物超伝導がスピン揺らぎに起因するか否かを判定する研究
Project/Area Number |
16740187
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大橋 洋士 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (60272134)
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Keywords | 超伝導 / 強結合効果 / 超流動 / 不純物効果 / 対形成機構 |
Research Abstract |
クーパー対形成に関わる引力相互作用を外部から制御するという、本研究のアイデアに通じるアプローチが極低温フェルミ原子気体で実現されたことを受け、本年度の研究実施計画にしたがって、この斬新な相互作用制御の解明と、銅酸化物高温超伝導の機構解明に活かすための研究を実施した。原子気体に光学格子を印加することにより、金属電子系と同様なバンド効果を導入、フェッシュバッハ共鳴により引力相互作用を制御した場合に、クーパー対の凝縮状態の性質がどのように変化するかを明らかにした。強結合領域ではバンド効果により、一様系とは異なり、強結合効果で超流動転移温度が低くなることを見出した。この研究では引力相互作用を最初から仮定しているが、これを斥力領域で考え、スピン揺らぎから引力相互作用を作り出せば、それを制御することによりスピン揺らぎの対形成機構特有の現象が引き出せる可能性がある。バンド効果が存在する場合、超流動転移温度は引力相互作用がバンド幅程度のところで最大となり、これは金属超伝導での転移温度の上限の解明にも役立つと期待できる。また、強結合領域におけるクーパー対の性質を繰り込み群により解析し、クーパー対間の相互作用が多体効果により温度変化、転移温度で0になることを見出した。更に、相互作用を制御し弱結合領域から強結合領域に系を変化させた際の超流動状態における1粒子の励起スペクトルを研究、強結合領域ではスペクトル中のギャップが超流動秩序パラメータではなく、化学ポテンシャルの大きさにより与えられることを微視的理論により明らかにした。これは強結合領域におけるフェルミ粒子系一般に成り立つ性質であるが、極低温原子ガスの場合はこれに加え、トラップの影響でガス周辺部に生じるアンドレーーフ束縛状態が1粒子スペクトルに影響を与えるという現象が見られることを微視的理論に基づいて示した。
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Research Products
(3 results)