2004 Fiscal Year Annual Research Report
磁気光学イメージング法による超伝導体および磁性体の磁気特性の研究
Project/Area Number |
16740191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳永 将史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50300885)
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Keywords | マンガン酸化物 / 相分離 / 磁気光学イメージング / 巨大磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
一般に、競合する秩序相の境界領域にランダムネスの効果が加わると相分離状態が実現する事が、多くの実験・理論によりあきらかになりつつある。ある種のマンガン酸化物では低温で強磁性金属相と反強磁性(または常磁性)絶縁対相への相分離状態が実現する事が確認されており、その状態で金属領域をつないだ不均一伝導を示すと期待されている。このパーコレーション的伝導がマンガン酸化物で起こる巨大磁気抵抗効果の原因であるとする説もある。 本研究では単結晶試料に対する磁気光学イメージングによって、(La,Pr)_<0.7>Ca_<0.3>MnO_3という物質が金属-絶縁体転移温度以下において不均一な磁化分布を持つ事を示した。また電流を印加しながらのイメージングによって、相分離状態における電流分布を観測し、金属状態での伝導が実際にパーコレーション的になっている事を初めて直接的に観測した。さらにこの実験を通して、相分離状態における不均一な伝導経路が電流密度増加によって均一な経路に変化する事を見出し、また伝導経路の変化が電圧-電流特性の異常を伴う事を見出した。 この結果は、これまで主に粉末や薄膜の試料で確認されていた巨視的相分離状態がバルクの結晶においても存在する事を示したという意味を持つとともに、この特異な輸送特性を利用した弱磁場における巨大磁気抵抗効果実現への道を開いた。またこの実験手法が電流分布特定の有力な手段となりうる事を実証した点も重要な成果である。
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Research Products
(2 results)