2004 Fiscal Year Annual Research Report
層状コバルト酸化物の電気化学手法による組成制御と電磁気特性評価
Project/Area Number |
16740194
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本橋 輝樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (00323840)
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Keywords | 層状コバルト酸化物 / ソフトケミストリー / 電気化学手法 / ボルタンメトリ / 超伝導 / 磁性 / 熱電変換 |
Research Abstract |
Na_xCoO_2に代表される層状コバルト酸化物は、優れた熱電変換特性や異常超伝導など特異物性を示すことから注目を集めている物質である。本研究では、ソフトケミストリー手法の一種である電気化学手法を用いてNa量及び酸素量を連続的かつ幅広く制御した試料を作製し、電磁気特性に対する化学不定比性の影響を調べ、更には新奇物性の探索を行うことを目的とした。以下に主な研究成果を示す。 ・電気化学手法と同様の効果を持つ溶液化学酸化を用いて、様々なNa量(x)を持つNa_xCoO_2試料の作製を試みた。母物質であるNa_<0.78>CoO_2をI_2,Br_2,NO_2BF_4という3種の酸化剤で処理することによりx=0.78-0.12の幅広いNa量制御に成功した。酸化還元滴定法により各試料のCo価数状態V(Co)を調べたところ、x【less than or equal】0.7の組成で酸素欠陥が存在し、実際のV(Co)はNa量から予想される値より小さいことが明らかになった。超伝導が発現するx=0.35試料ではCo価数が3.48と決定され、この結果は本物質が電子ドープしたCo^<IV>格子ではなくホールドープしたCo^<III>格子と見なすべきであることを示している。 ・新規層状コバルト酸化物(Bi, Pb)-Ba-Co-Oの合成に成功し、電気化学手法による新奇物性探索の有力な母物質を得ることができた。本物質はNa_xCoO_2と同じCoO_2層を含むミスフィット酸化物の一種であり、同様の結晶構造を持つ物質群の中で最も優れた金属伝導性を示すことが判明した。
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