2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740195
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小林 義彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (60293122)
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Keywords | La_<1-x>Pr_xCoO_3単結晶 / スピン転移 / 電子輸送特性 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型酸化物RECoO_3(RE:希土類元素)におけるp-f混成効果がもたらす特異な磁性と電子輸送特性、主に熱電特性との間に相関に注目して、La_<1-x>Pr_xCoO_3単結晶試料を作製し、その磁性と電気伝導現象を系統的に研究した。 (1)La_<1-x>Pr_xCoO_3の電気抵抗(r)の温度依存性は絶縁体的で、その電気伝導機構はポーラロンホッピングによると考えられる。しかし、rの値および1n(ρ)対1/Tプロットの傾きは小さくなっており、REサイトをPrまたはLaで少量置換することによって、電気伝導性が向上していることが明らかになった。これは、REサイト置換により、キャリア数が増大する、またはポーラロンホッピング伝導の活性化エネルギーが減少する、といった効果があることを示唆する。 (2)熱電能の符号はLaCoO_3では正、PrCoO_3では負の値を示す。これは希土類元素の違いにより、電気伝導を担う電荷の符号が異なることを示唆する。さらに、LaCoO_3にPrを少量ドーブすると熱電能の符号は負になり、絶対値は減少する。また、PrCoO_3にLaを少量ドープすると熱電能の符号は正になり、絶対値は減少する。すなわちLaCoO_3へのPr少量ドープにより負符号のキャリア、PrCoO_3へのLa少量ドープにより正符号のキャリアがドープされていることを示唆する。ホール係数測定の結果も熱電能の結果を支持している。 (2)La_<0.1>Pr_<0.9>CoO_3の帯磁率の温度依存性(x(T))はPrCoO_3のそれと100K以下の低温を除いてほぼ等しい。これはPrの4f電子の磁気モーメントの寄与が大きいことを示す。一方、La_<0.9>Pr_<0.1>CoO_3のx(T)はLaCoO_3のそれと同様、100K付近にピークを持ち、500K付近にもプラトーを持つ。このことからLa_<0.9>Pr_<0.1>CoO_3のCo^<3+>イオンはLaCoO_3のそれと同様2段階スピン転移を生じることが分かる。しかしその転移温度はPrドープ量とともに高温側へシフトしていく。この現象を、La^<3+>とPr^<3+>のイオン半径の違いに寄る化学的圧力効果と考え、解析に成功した。
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Research Products
(3 results)