2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740195
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小林 義彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (60293122)
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Keywords | La_<1-x>Pr_xCoO_3 / スピン転移 / P-f混成効果 / 磁性 / 電子輸送現象 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型酸化物RECoO_3(RE:希土類元素)におけるp-f混成効果がもたらす特異な磁性と電子輸送特性、主に熱電特性との間に相関に注目して、La_<1-x>Pr_xCoO_3単結晶試料を作製し、その磁性と電子輸送現象を系統的に研究した。 (1)電気抵抗測定から、REサイト置換により、キャリア数が増大する、またはポーラロンホッピング伝導の活性化エネルギーが減少する、といった効果があること、熱電能およびホール効果測定からLaCoO_3へのPr少量ドープにより負符号のキャリア、PrCoO_3へのLa少量ドープにより正符号のキャリアがドープされていることを示唆する結果を得た。これらの実験事実を、Pr-4f軌道がO-2p軌道を介してCo-3d軌道と混成することにより、Co-3d軌道に電子的なキャリアがドープされているというモデルで説明した。 (2)La_<1-x>Pr_xCoO_3単結晶におけるCoによる磁気モーメント成分を抽出することを目的として、La_<1-x>Pr_xAlO_3多結晶試料を作製し、磁化測定を行った。その結果、La_<1-x>Pr_xAlO_3の帯磁率の温度依存性は結晶場を考慮したPr-4f状態による磁気モーメントで説明できるが、La_<1-x>Pr_xCoO_3の低温での帯磁率はこれでは説明できないことが明らかになった。これはPrの磁気モーメントがLa_<1-x>Pr_xAlO_3とLa_<1-x>Pr_xCoO_3で大きく異なることを示唆する。これは、上記のPr-4f軌道のO-2p軌道を介したCo-3d軌道との混成により、Prの磁気モーメントの大きさが変化していることによる可能性がある。すなわち上記モデルの傍証と考えられる。 (3)光電子分光によるPr-4f軌道の観測を行い、La_<1-x>Pr_xCoO_3においてはPr-4fレベルがCo-3dレベルに非常に近く、重なっていることが明らかになった。これはPr-4f軌道がO-2p軌道を介してCo-3d軌道と混成しているというモデルの協力な証拠となる。 (4)La_<0.1>Pr_<0.9>CoO_3の帯磁率の温度依存性(x(T))はPrCoO_3のそれと100K以下の低温を除いてほぼ等しい。これはPrの4f電子の磁気モーメントの寄与が大きいことを示す。一方、La_<0.9>Pr_<0.1>CoO_3のx(T)はLaCoO_3のそれと同様、100K付近にピークを持ち、500K付近にもプラトーを持つ。このことからLa_<0.9>Pr_<0.1>CoO_3のCO^<3+>イオンはLaCoO_3のそれと同様2段階スピン転移を生じることが分かる。しかしその転移温度はPrドープ量とともに高温側へシフトしていく。この現象を、La^<3+>とPr^<3+>のイオン半径の違いに寄る化学的圧力効果と考え、解析に成功した。
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Research Products
(5 results)