2005 Fiscal Year Annual Research Report
価数転移・重い電子系イッテルビウム化合物の圧力下の磁気相研究と新奇超伝導相探索
Project/Area Number |
16740196
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
光田 暁弘 九州大学, 理学研究院, 助教授 (20334708)
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Keywords | イッテルビウム化合物 / 価数転移 / 重い電子系 / 高圧実験 / 圧力誘起相転移 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究を行った。 (1)価数転移を示すYb化合物の高圧下磁化測定結果を解析したところ、支配的な量子スピン揺らぎを示唆する結果を得た。Y濃度、圧力を変えるとスピン揺らぎのパラメータが系統的に変化することから、この圧力誘起強磁性は遍歴電子強磁性理論で議論できると考えられる。 (2)重い電子系化合物YbCu_<5-x>Ag_x系について、希釈冷凍機を用いて熱電能Sを測定した。これまでの最低温度2Kの測定で、最低温度におけるS/Tの組成x依存性が電子比熱係数γのそれと対応しないことが問題となっていた。その原因として測定最低温度が十分に低くなっていないことが考えられた。今回の0.2Kまでの測定によってx=0を除いて、S/Tとγのx依存性はほぼ一致することが明らかになった。これらの物理量が大きな状態密度を反映していることに対応している。X=0については依然としてS/Tとγが対応していない。この原因については現在も考察中である。 (3)Yb系で最も重い電子系化合物YbCu_5について、高圧下電気抵抗の測定を行った。今回は以前の測定よりも高い圧力領域を目指して何度も実験を行ったが、圧力セルの破損により高い圧力領域のデータは得られなかった。最低温度領域の電気抵抗はT^2依存性を示し、その係数Aは圧力とともに増加する結果が得られた。加圧により電子の有効質量が増大することを示唆する結果が観測されたが、新しい磁気秩序や超伝導の出現の兆候は見られなかった。 (4)Yb系スクッテルダイト化合物YbFe_4Sb_<12>は報告者によって様々な物性が報告されており、統一的な物性の理解が進んでいなかった。おそらく試料の純度に問題があると考えられている。そこで、我々が最近試みている赤外線誘導加熱炉を用いたブリッジマン法を用いてより純度の高い試料作製を試みた。しかしながら、純度の高い試料を得ることができなかった。
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