2004 Fiscal Year Annual Research Report
反転対称性を持たない強磁性体UIrにおける圧力誘起超伝導の研究
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16740199
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤澤 輝彦 神戸大学, 海事科学部, 助手 (30346291)
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Keywords | UIr / 空間反転対称 / 超伝導 / 強磁性 / 時間反転対称 |
Research Abstract |
UIrは常圧でキュリー温度T_<C1>【similar or equal】46Kの強磁性体である.また,結晶構造は空間反転対称を持たない.加圧とともにT_<C1>は減少し,約1.7GPaで消失する.さらに圧力をかけると,あらたな強磁性相FM3が出現する.FM3相は加圧により臨界圧力P_<C3>【similar or equal】2.6GPaで消失する.P_<C3>近傍の狭い圧力範囲で超伝導が出現することを我々のグループは発見した.この超伝導は,時間反転対称と空間反転対称をもたない新しいタイプの超伝導である可能性がある.この超伝導の対称性を実験的に明らかにすることを目的に本研究を行っている.本年度の成果は以下の2点である. 1.Spring-8も((財)高輝度光科学研究センター)のビームラインBL10XUで高圧下多結晶粉末X線回折実験を行った.3.1GPaまで,加圧とともに格子定数が連続約に減少することがわかった.また,結晶構造の対称性の変化を示すような回折スペクトルの変化は,実験の精度内で観測できなかった.これらの実験事実は,3.1GPaまで結晶構造の対称性に変化がないことを強く示唆する.したがって,出現した超伝導のクーパー対は,反転対称を持たないと考えられる. 2.超伝導の特性に関する知見を得るため,残留抵抗比RRRの異なる2つの単結晶試料で電気抵抗率を測定し,超伝導転移濃度T_<SC>の試料依存性を調べた.RRR【similar or equal】250の試料では,T_<SC>が最大となる2.61GPaでT_<SC>【similar or equal】0.14Kであった.一方,RRR【similar or equal】60の試料では,50mKまでの冷却を行ったが,どの圧力でも超低導は観測されなかった.非磁性不純物に対しT_<SC>が敏感なことから,出現した超伝導が異方的であることが予測される.次年度,H_<C2>の異方性を詳細に調べ,異方的な超伝導であるかどうかを明らかにする予定である.
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Research Products
(2 results)