2004 Fiscal Year Annual Research Report
Yb化合物における強相関電子物性の圧力制御と新たな秩序相の探索
Project/Area Number |
16740200
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水戸 毅 神戸大学, 理学部, 助手 (70335420)
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Keywords | イッテルビウム化合物 / 核磁気共鳴(NMR) / 高圧 / 強相関電子系 / 量子臨界 / 重い電子 |
Research Abstract |
YbXCu_4化合物の中で、X=Cu,Ag,Inの物質は圧力パラメタによってf電子の非局在-局在変化を引き起こすことができる可能性の高い物質である。本プロジェクトでは主にX=Cu,In試料についての研究を進めており、以下に実績をまとめる。 1.YbCu_5 この物質は、これまで高圧下合成法によってのみ作成可能であるとされていたが、Idzikowski等は最近急冷法によっても合成が可能であることを示した。我々は急冷法によって合成された試料を用いて初めてYbCu_5の圧力効果を調べた。高圧下電気抵抗測定によると、f電子と伝導電子が重い電子を形成し始めると考えられる温度が42K⇒28K(常圧⇒2.1GPa)と減少し、圧力によって電子系の局在性が増したことを示している。この結果より、YbCu_5はYbAgCu_4と比べると常圧下で既に5GPaの化学的圧力下にあることが分かり、比較的低圧力によって量子臨界点近傍へアプローチすることができる可能性が高いことが分かる。この他、高圧下NMR(核磁気共鳴)、NQR(核四重極共鳴)測定も行っている。 2.YbInCu_4 これまでの我々の研究により、この物質は2.4GPa以上の圧力下では基底状態が価数揺動⇒強磁性秩序状態と変化することが分かっている。そのメカニズムを探るため、詳細なNQR測定を行った結果、この圧力変化は一次相転移であることが実験的に明らかにされた。転移は両相の自由エネルギーにおいてどちらが安定かによって決められていると考えられる。一方、磁気秩序相におけるNMR測定からは、期待されたほどの内部磁場が観測されず、磁気秩序構造が単純な強磁性ではないことを示唆している。
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