2004 Fiscal Year Annual Research Report
緩和法を用いた圧力中比熱測定による重い電子系超伝導体の物性研究
Project/Area Number |
16740201
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
西郡 至誠 島根大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (50273917)
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Keywords | 重い電子系化合物 / 圧力誘起超伝導 / 比熱 / 圧力 / 熱伝導率 |
Research Abstract |
本年度は、これまで開発を行ってきた緩和法圧力中比熱測定装置の測定精度を高める為に、幾つかの施策を講じた上で実際に金属試料,圧力媒体の熱特性測定を行った。 緩和法圧力中比熱測定は圧力媒体中にある金属試料を局所的に加熱してその温度変化を直接測定し、その温度変化から比熱を測定する手法である。この手法では試料の周囲が圧力媒体に囲まれており熱の流れが三次元的で複雑である為、絶対値を得る為の解析が困難であった。そこで、現実の系に即した熱流を計算できる数値解析法(ここでは有限要素法を使用)を用い、シミュレーション結果と測定結果が一致するように試料および圧力媒体の比熱,熱伝導率を最適化する新しい解析法を開発した。また、加熱用のヒーターおよび試料の形状を解析が簡素化される円筒形に精度良く整形し、温度測定点を複数点とすることにより、試料および圧力媒体の高圧下における比熱のみならず熱伝導率を導き出すことにも成功した。この成果により特許の出願も行った。 新しい手法をCeRh_2Si_2適用したところ13〜40K,0〜1GPaの間で絶対値に近い精度の高い測定結果を得ることに成功し、T_N=36K(0GPa)にあった反強磁性転移による比熱の異常が加圧によって低温側に抑えられていく様子が観測できた。同時に得られた圧力中の熱伝導率は、転移点において僅かに上昇するという振舞いを示した。これは磁気秩序を示す金属間化合物に特徴的なものである。また、これまでは圧力媒体としてフロリナートを使用していたが、本測定法により適した熱特性を有する圧力媒体の探索も行った。その結果ダフネオイル7373が熱伝導率は多少大きいものの、比熱が低温領域(20K付近)でフロリナートと比べ約2分の1と緩和法により適した圧力媒体であることが判明した。
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Research Products
(2 results)