2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740202
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
市岡 優典 岡山大学, 理学部, 助教授 (90304295)
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Keywords | 非従来型超伝導体 / 磁束渦糸状態 / 準古典理論 / ギンツブルグ・ランダウ理論 / 超伝導異方性 / 多バンド超伝導 |
Research Abstract |
非従来型超伝導体での磁束渦糸状態の空間構造や電子状態を計算することにより、電子系の微視的ハミルトニアンの情報と磁束渦糸状態の物性の間の密接な関係を解明すること、および、多成分超伝導オーダーパラメーターを持つと考えられる系における超伝導多重相図、磁束渦糸状態と界面状態、および両者が組合わさった状態の空間構造と物性を解明することを目標に研究を進めた。 1.磁場の方向依存性に注目し、超伝導異方性とフェルミ面異方性の効果を定量的に明らかにすることを目的に、準古典理論により、電子系の微視的なハミルトニアンから出発して磁束渦糸状態の空間構造や低エネルギー電子状態密度(電子比熱係数に対応)についての計算を行ない、磁場の大きさ・方向に対する変化の様子を明らかにした。特に、超伝導異方性に加えて、フェルミ面の形状・フェルミ速度異方性および多バンド構造も含めて考慮した計算をして、超伝導異方性とフェルミ面構造が磁束渦糸状態に与える影響を解明した。その中で多バンド超伝導体MgB_2の低温比熱の磁場方向による違いや磁束渦糸まわりの電子状態の構造について理論計算し、2種類のバンドのフェルミ面形状の違いが物性に大きな影響をもたらしていることを解明するとともに、比熱測定やSTM(走査型トンネル顕微鏡)観察の実験結果をうまく説明することができた。 2.多成分超伝導体と考えられる系(UPt_3,Sr_2RuO_4,PrOs_4Sb_<12>など)について、複数オーダーパラメーターの組み合わせ方によって現れる特異な磁束渦糸構造や界面構造について、ギンツブルグ・ランダウ理論による計算を行なった。そして、界面にできる特殊な渦糸構造を明らかにし、この特殊構造が磁化過程や電流を流したときのピン止め効果に果たす役割を解明した。さらに、比熱や磁化などの物理量の振舞いについて超伝導多重相図や超伝導対称性に伴う異常の可能性について注目し研究をすすめている。
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