2005 Fiscal Year Annual Research Report
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16740202
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
市岡 優典 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (90304295)
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Keywords | 非従来型超伝導 / 磁束渦糸状態 / 準古典理論 / ギンツブルグ・ランダウ理論 / 超伝導異方性 / 常磁性効果 / 不純物・不均一性 |
Research Abstract |
1、重い電子系などの非従来型超伝導における磁束渦糸状態の物性を理解する上でパウリ常磁性効果による超伝導対破壊の効果をきちんと考慮に入れて計算することの重要性を認識したため、今年度はパウリ常磁性効果による対破壊効果も考慮した磁束渦糸状態についての準古典理論による計算を行い、磁束渦糸状態の空間構造、磁場依存性・温度依存性におけるパウリ常磁性効果の影響を超伝導異方性の効果とともに明らかにする研究を行った。さらには、パウリ常磁性効果と関連した興味深い超伝導状態として、CeCoIn_5で発見されたFFLO(Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinikov)状態と考えられる新たな超伝導相について、FFLO状態における磁束渦糸状態の空間構造を微視的理論から定量的計算で明らかにし、NMRスペクトルなどの実験結果に関連して理論的に機構を解明する研究を行った。これらの結果については論文投稿の準備中である。 2、前年度に引き続き、多成分超伝導オーダーパラメーターの系での興味深い磁束渦糸状態の静的・動的性質を解明するための研究を行った。この過程において、実際の物質での状況と比較を可能とするため、不純物など超伝導の不均一性を考慮する必要性を感じ、その効果を取り込んだ磁束渦糸状態の研究を始めた。超伝導不均一性は渦糸にとってピン止め中心としてはたらく他、多成分超伝導体の一つの重大な特徴である自発磁化発生の原因となる。微視的理論の計算による不純物まわりの超伝導状態の計算(論文発表)に続き、超伝導が不均一な場合の磁束渦糸の静的・動的な特徴について、ギンツブルグ・ランダウ理論によるシミュレーション計算での解析を進行中である。
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