2004 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性ナノ構造における超伝導近接効果と量子輸送物性
Project/Area Number |
16740210
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎藤 英治 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (80338251)
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Keywords | ナノ磁性体 / メゾスコピック系 / 量子伝導 |
Research Abstract |
超伝導Nb/強磁性NiFe/Nbダブルヘテロ接合においてNiFe層に磁気不均一構造を導入するために、反応性イオンエッチング法及びリフトオフ法を組み合わせたNiFe中間層のパターンニング技術の開発を行った。現在までに、厚さ10nmのSiO_2層に線幅100nmのNiFeワイアを埋め込みこれを更にNbで挟み込んだ構造の作成に成功している。本研究で新たに購入した輸送物性測定システムを用いてこの試料の極低温度における微分抵抗を測定し、Nb/NiFe/Nbに流れる超伝導電流を観測した。さらに交差アンドレーエフ過程による超伝導電流の観測を目指し、この超伝導電流の磁場依存性の精密測定を行っている。また、強磁性における超伝導近接効果の開拓においてナノスケール特有の磁気ダイナミクスの把握が重要な鍵を握るため、NiFe磁性体ワイアにおける磁気ダイナミクスの制御観測を目指して線幅50mの半円型ワイアを作成し、これに単一磁壁を閉じ込めることで磁壁共振器を構成した。この共振器は、膜面内の磁場を調節することで、磁壁の閉じ込めポテンシャルの曲率を制御できることが特徴である。この共振器を用いて単一磁壁の共鳴振動の観測に成功し、磁壁の有効質量を求めることにはじめて成功した(Nature誌に論文掲載)。また、この共鳴スペクトルの解析から、磁壁と電流の相互作用機構を明らかにし、メガヘルツ領域では共鳴効果により運動量移行機構が著しく増強されることを示した。この結果は、ナノ磁性体及び磁性体・超伝導体ナノ構造における磁気ダイチミクスの効率的な制御において極めて重要である。
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