2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740212
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
金子 耕士 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (30370381)
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Keywords | ネプツニウム / 115系化合物 / 中性子散乱 / 磁気構造 / 5f電子 / メタ磁性転移 |
Research Abstract |
昨年度実施したNpCoGa_5,NpFeGa_5に続き、まずT_c=30Kと18Kで強磁性秩序の存在が報告されているNpNiGa_5について実験を行った。単結晶を用いた中性子回折実験から、T_c以下でc軸方向にNpの磁気モーメントが配列した強磁性構造が現れ、18K以下では強磁性成分に加え、q=(1/2 1/2 1/2)の反強磁性成分が出現することを見出した。18K以下について、偏極中性子回折を用いた詳細な実験を行い、Npの磁気モーメントが主軸であるc軸からキャントした、極めて特異な磁気構造が実現していること、さらに18K前後で単に向きが変わるだけでなく、モーメントの増大を伴う事も見出した。これらの結果から、NpNiGa_5では5f電子状態の変化を伴う転移が実現していること、またその磁気構造は単純な磁気相互作用では説明できず、その背景に軌道自由度が重要な役割を担っている可能性が考えられることを明らかにした。 同じく2段の磁気転移を示すNpRhGa_5について実験を行い、T_N=36K以下でc軸に平行な磁気モーメントがq=(0 0 1/2)の反強磁性秩序を示し、32.5K以下でqは変わらず、向きがc軸からc面内へと大きく変化する事を明らかにした。特筆すべきは、このモーメントの向きの変化に伴い、NpNiGa_5と同様に大きさが増大することで、この転移に電子状態の変化が伴っていると考えられる。 一連のNp-115化合物では、遷移金属を変えることで、多彩な磁気構造が実現していることを明らかにした。電子状態の変化や、多彩な磁気構造の実現には、軌道自由度が重要な役割を担っている可能性が考えられ、これらの統一的な理解は、同じ5f系であるUとの比較も含め、5f電子系の理解に向けて重要であると考えられる。他の115系化合物へ研究を展開すると同時に、より理解を深める目的で、共鳴X線散乱による相補的な研究も進めている。
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Research Products
(6 results)