2005 Fiscal Year Annual Research Report
層状遷移金属化合物を母体としたソフト化学生成物質における電子輸送特性の精密測定
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16740214
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
竹谷 純一 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (20371289)
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Keywords | 電界効果 / 微小単結晶 / ホール効果 |
Research Abstract |
層状遷移金属化合物を母体として、常温常圧に近いソフトな条件においてイオンや分子を付加あるいは挿入する手法は、自由度の高い物質設計の手法であるが、mm級の均一な単結晶を得にくいために、精密な輸送特性が困難である。そこで、本研究では微小な結晶でも精密な電子輸送特性が測定できるよう、絶縁性基板上に微小電極を形成した"電子伝導測定チップ"を作成し、その上に結晶を貼り合わせることにより伝導度を測定する手法を開発してきた。今年度は、微小電極パターンを6端子形状にした上で、レーザーエッチングによって結晶の形状を整えることで、微結晶のホール効果を測定する方法を工夫した。実際に、約100ミクロン程度の大きさの有機半導体単結晶に適用することにより、有機半導体単結晶のホール効果が明確に観測された。さらに、絶縁性基板にゲート電圧を引加してキャリア量をコントロールできるよう、有機単結晶電界効果トランジスタ構造を作成し、ホール係数のゲート電圧に対する変化も測定した。これまでに、有機トランジスタのホール効果の測定例はなく、本実験が初めての報告例である。ゲート電圧に対して明確にホール係数が変化する結果から、互いにあからさまな化学結合のない有機分子が配列した有機半導体においても、無機半導体同様に電界効果注入されたキャリアが分子をまたいで空間的に広がることが明らかになった。この結果は、有機トランジスタの更なる性能向上とそれによる広範なデバイス応用への展開に根拠を与えるとともに、ホール効果が単一の分子間のミクロなキャリア分布をプローブする手法になることを示している。
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Research Products
(4 results)