2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740218
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹本 智弘 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70332640)
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Keywords | 非対称排他過程 / 界面成長 / ランダム行列 / 非平衡統計力学 |
Research Abstract |
今年度は、当初の計画通り、境界の影響が強い重要なモデル系に対する物理量の具体的な計算を進めた。 まず、一次元多核成長模型と呼ばれる界面成長模型において、外場のある場合の同時刻多点分布が、フレドホルム行列式で記述されることを示し、その積分核の漸近的な表式を与えた。これは、界面が液滴状に成長していく際、その境界部分での成長が早くなるような模型であり、外場の強さによって相転移が起こることが知られているが、その多点分布への影響について調べることが出来た。これは、一次元非対称排他過程と呼ばれる多粒子拡散模型でいうと初期条件が原点の左右で異なる密度から始まる場合に相当しており、その相関関数を計算したことにもなる。また、得られた結果の特別な場合と先行研究との関係についても議論した。 同時に、このような解析と、ランダム行列理論との関係の解明も進めた。特に、外場が一つだけの場合の多核成長模型が、外場のあるランダム行列と深く関係していることを示した。さらに、一次元非対称排他過程のカレント揺らぎを、グリーン関数から調べることが出来ることを示し、それがランダム行列理論のある種の変形したようなものが現れることを示した。 また、境界のある非対称排他過程の定常状態を調べる方法である、行列の方法についても研究を進めた。その結果、アスキー・ウィルソン多項式との関係を見出した。また、行列の方法をより一般の模型に適用する方法についても議論した。
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Research Products
(5 results)