2005 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的フラストレーションの誘起する量子相転移と新奇な基底状態
Project/Area Number |
16740222
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸塚 圭介 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (80291079)
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Keywords | 幾何学的フラストレーション / 多体交換相互作用 / 量子相転移 / ボゾン化 / スピンギャップ系 |
Research Abstract |
研究計画に従い、4体スピン相互作用のある系の基底状態相図、量子相転移に対する統一的な観点からの研究を行った。まず、フランスのLecheminant氏と共同で、さまざまな強力な研究手法の存在する(擬)一次元の梯子系に対して解析的手法による研究を行った。我々のグループによるこれまでの研究から、この系には、時間反転対称性の破れたものを含む4つのunconventionalな量子相が存在し、それらが、SO(6)と呼ばれる大きな対称性の下に統合されることがわかっていたが、それらの間の量子相転移についてもユニバーサィティなどに関する詳細な知見が得られた。このような弱結合領域にない系における量子相転移の解析には非摂動論的な手法が必要だが、我々は、一般化された自己双対サイン・ゴルドン模型と呼ばれる場の理論的模型の非摂動論的な解を求めることによりこれを行った。さらに、得られた相図を、複数のオーダーパラメータを結合したsuperspinの間に発達するコヒーレンスという立場から理解する方法を提案した。これらの結果は、現在投稿準備中の論文において詳細に報告する予定である。また、以上の研究で得られた知見を、より現実的な2次元系の問題に拡張した。まず、低エネルギーで重要な役割を果たす自由度と、そこに発達する秩序を同定する必要があるが、我々は、正方格子を構成する正方形のユニット(プラケット)の上に定義されたスピン自由度を持つBose粒子が、着目する新奇なタイプの秩序の競合を記述するのに有効であることを見出した。これらの結果も現在公表準備中である。最後に、京大化学の陰山氏のグループ(実験)と共同で、新しい2次元スピンギャップ化合物の磁性について研究した。結晶構造からは、従来から理論的観点からよく知られてきた模型(J_1-J_2モデル)がモデルハミルトニアンとして有効と考えられたが、理論的考察と実験結果(中性子非弾性散乱、強磁場磁化過程)の解析から、新しいスピンギャップ形成機構が必要であることがわかった。
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[Journal Article] Anomalous Magnetization of Two-Dimensional S=1/2 Frustrated Square-Lattice Antiferromagnet (CuCl)LaNb_2O_72005
Author(s)
H.Kageyama, J.Yasuda, T.Kitano, K.Totsuka, Y.Narumi, M.Hagiwara, K.Kindo, Y.Baba, N.Oba, Y.Ajiro, K.Yoshimura
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Journal Title
Journal of Physical Society of Japan 74
Pages: 3155-3158