2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 義幸 京都大学, 情報学研究科, 助手 (40314257)
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Keywords | ハミルトン系 / 長距離相互作用 / 準定常状態 / 有限サイズ効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、長距離相互作用を持つハミルトン系の静的(統計的)性質と動的(ダイナミクスの)性質を調べることである。 まずは静的性質を調べるため、2粒子間の相互作用が距離に依存するモデルを導入し、カノニカル統計力学による予想と正準方程式を数値的に時間発展させて得られた時間平均との比較を行った。このモデルでは、相互作用がある程度長い場合には2次相転移が起こり相転移点は相互作用距離に依存しないことが知られているが、有限サイズ効果が相互作用距離に依存するか否かは不明であった。本研究の結果、有限サイズ効果はカノニカル平均値と時間平均値の差異という形で現れ、差異は相互作用距離に依存することが分かった。また秩序相では、相互作用距離が長くなるほど、自由度を上げたときに差異が速やかにゼロに近付くことが分かった。 次に動的性質を調べるため、平均場相互作用系における分布関数方程式の時間発展を考えた。この方程式はVlasov方程式と言われており、無限自由度のときには系を厳密に正しく記述する。長距離相互作用系では、しばしば準定常状態と言われる状態にトラップされることがあるが、この準定常状態における相関関数を理論的に予測し、この予測を数値的に確認することができた。この結果は論文として投稿準備中である。
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