2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740226
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
御領 潤 青山学院大学, 理工学部, 助手 (70365013)
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Keywords | 渦糸 / 超伝導 / 滑りまさつ / ピン止め / 臨界現象 |
Research Abstract |
本研究のテーマである「渦糸格子の滑り摩擦に関する臨界現象」に関連し、two gap超伝導体MgB_2のフラックス・フロー抵抗について考察した。 MgB_2は2001年青山学院大学秋光教授のグループにより発見され、金属化合物としては最高の超伝導転移温度39Kをもつ物質として大きな注目を浴びた。この物質の他の大きな特徴は、二つのFermi面が存在しそれぞれの面上に振幅が異なる超伝導ギャップが開いている点である。すなわち、超伝導ギャップが二つ存在している。この構造はtwo gap構造と呼ばれている。そしてギャップ関数の対称性はs-波であることが知られている。MgB_2のフラックス・フローに関する実験が、(当時)東京大学物性研究所の松田教授のグループにより行われた。フラックス・フローとは渦糸状態に電流を掛けて渦糸を滑らせたときに生じる抵抗(まさつ)であり、掛けた電流に対する電圧降下を測定することにより抵抗値を知ることができる。フラックス・フロー抵抗の磁場依存性(単位面積当たりの渦糸の本数に比例)に着目する。通常s-波超伝導体では抵抗は磁場に比例することが知られている。ところがMgB_2の場合、抵抗は磁場の変化に対して上凸型の振る舞いを示し、磁場に比例する場合とくらべて著しく増大していることが分かった。 本研究代表者はフラックス・フロー抵抗の異常な振る舞いが、two gap構造から直接的に導かれることを理論的に示した。
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Research Products
(2 results)