2004 Fiscal Year Annual Research Report
2成分金属の時空間パターンを利用した自動配列する1次元導体絶縁体縞構造の開発
Project/Area Number |
16740229
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長峯 祐子 独立行政法人理化学研究所, 局所時空間機能研究チーム, 研究員 (50344049)
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Keywords | 時空間パターン / 銀 / アンチモン / 縞構造 / 電極 / 相分離 / 対流 / 吸着 |
Research Abstract |
2成分金属(銀とアンチモン)から成る時空間パターンは銀とアンチモンを溶かした水溶液に金属電極を挿入し、この電極表面上に水溶液に溶けている銀とアンチモンを電気吸着させることにより、金属電極上に形成される。この時空間パターンは、10μm程度の銀リッチな白い縞とアンチモンリッチな黒い縞から形成されており、縞は電極表面に銀とアンチモンの電気吸着が続く限り、電極表面上を1μm/s程度の速さで動き続ける。この時空間パターンの形成メカニズムは現在明らかにされていない。 この時空間パターンを、本科学研究費補助金で購入した高倍率ズームレンズを使用して観察したところ、パターンを構成している、銀リッチな白い縞とアンチモンリッチな黒い縞の高さが時間とともに高くなっていくことが明らかになった。さらに、縞幅の時間変化についても考察したところ、幅も時間とともに大きくなっていくことがわかった。これらのことからこの時空間パターンは金属の相分離によって形成されているということが予想される。この予想が正しい場合、このような金属電極表面に電気吸着していく2成分金属が電極表面上で自発的に相分離を起こして時空間パターンを形成するという新規現象が初めて発見されたことになる。 さらにこの予想を確かにするため、相分離以外の機構で、パターン形成に大きく寄与する可能性をもつと考えられる、一般的に電極表面上に時間とともに自発的に発生する対流と時空間パターンとの関係を調べた。本研究では、これまで垂直に固定されていた電極を水平に固定することにより、全く電極表面上の対流の発生を抑え、実験をおこなった。この実験により、対流が発生しない条件下においてもやはり、この時空間パターンは形成されてゆき、対流の効果でこの時空間パターンが発生しているのではないことがわかった。つまり、この実験により上記の予想はやはり否定されなかった。
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Research Products
(2 results)