2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム原子のデルタキック冷却の研究とボース・アインシュタイン凝縮
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16740233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 貴稔 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師(研究機関研究員) (30328562)
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Keywords | 原子光学 / レーザー冷却 |
Research Abstract |
レーザー冷却されトラップされたナトリウム原子をトラップから開放し、自由発展後に磁場をパルス状に印加しデルタキック冷却を行った。はじめ原子雲の温度は80μKだったが、自由発展時間が長くなるにつれて、温度が下がったことを観測した。またこの実験結果は、理論曲線と良く一致している。最後に自由発展時間を22msにすることで、温度2μKを実現した。これは原子が1光子の吸収放出による反跳温度限界以下である。このことは、従来の光ポテンシャルではなく、磁場ポテンシャルを用いたことに起因するものであり、本研究における手法の利点が実証されたことになる。また、冷却比40倍というのは、中性原子のデルタキック冷却の研究の中で、最も効率の良い冷却を実現できたことになる。 また、本年度は、実際にボース・アインシュタイン凝縮の基礎研究を行った。まず、熱原子に光ポテンシャルパルスを印加する実験を行った。すると、パルス時間を長くするにつれて温度が下がる現象を観測したが、温度が振動する様子は観測できなかった。デルタキック冷却ではなく、蒸発冷却が支配的に起こっているものと思われる。これは、パルス時間30ms程度では、原子間衝突を無視できないことが原因であると考えられる。したがって、かなり速いパルスが必要であることがわかった。また、ボース・アインシュタイン凝縮体を光トラップ中に生成した。このとき、凝縮体の平均場をデルタキックで制御できると考えられる。そこで、平均場の大きさを観測するために、原子のプロファィルを詳細に解析することで、熱原子分布とボース・アインシュタイン凝縮体分布を可視的に分離することに成功した。今後は、デルタキックによる凝縮体の平均場制御の研究を行うことができるものと考えられる。 現在、磁場によるデルタキック冷却の成果を論文にまとめて、Physical Review Aに投稿中である。
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Research Products
(2 results)