2004 Fiscal Year Annual Research Report
高強度軟X線高次高調波と原子の非線形相互作用による多価イオン生成メカニズムの解明
Project/Area Number |
16740237
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長谷川 宗良 独立行政法人理化学研究所, 緑川レーザー物理工学研究室, 基礎科学特別研究員 (20373350)
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Keywords | 高次高調波 / 軟X線 / 非線形現象 / 2光子2重イオン化 / 自己相関法 |
Research Abstract |
本研究では、軟X線領域において非線形現象を用いて原子をイオン化し、そのイオン化メカニズムを明らかにする事を目的としている。本年度は、研究計画通り軟X線高強度高次高調波(チタンサファイアレーザーの27次高調波、λ=29.6nm)を用いた非線形現象を観測するために、飛行時間型の質量分析器を作成し、非線形現象の観測を行った。得られた成果を以下にまとめる。 1、ヘリウム原子に高強度高次高調波を集光する事によって、2価のヘリウムイオンの観測に成功した。これは、軟X線領域において初めての非線形現象となるものである。 2、高次高調波の強度に対する2価のヘリウムイオンの収量の依存性を測定した。その結果、傾き2が得られ、2価のヘリウムイオンは、2光子過程を経由して生成していることが明らかとなった。これは、2価のヘリウムイオンが2光子2重イオン化によってイオン化していることを示すものである。 3、電子分光により、軟X線領域で初めて越閾イオン化を観測することに成功した。2.の2光子2重イオン化の観測とあわせて、理論的に計算されているイオン化断面積との比較を行い、良い一致を得る事が出来た。 4、高次高調波の非線形現象を用いた応用として、自己相関法による高次高調波のパルス幅の計測を試みた。そのために、高次高調波を等価な2つのパルスに分割し、なおかつ2つのパルスに時間遅延を与えるスプリットビームセパレータを開発した。 5、27次高調波のパルス幅を測定したところ、8fsの超短パルスであった事が明らかとなった。
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