2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を用いた水とマグマの臨界現象の直接観察及び含水マグマの粘性測定
Project/Area Number |
16740250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三部 賢治 東京大学, 地震研究所, 助手 (10372426)
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Keywords | 放射光 / 高温高圧 / マグマ / 水 / フルイド / 第2臨界点 / 粘性 / ダイヤモンド |
Research Abstract |
西播磨の大型放射光施設Spring-8において、川井型2段式マルチアンビル高圧発生装置と放射光を用いたラジオグラフィ法により高温高圧下で共存する含水マグマとフルイドを直接観察し、それらの相の安定領域を決定する新しいサンプルカプセルを開発した。本研究は含水系における実験であるため、サンプルカプセルは水との反応性が低く、水を封入し、しかもX線の透過性が良いものである必要がある。それを満たすものとして、本研究では単結晶ダイヤモンドと貴金属チューブを組み合わせた新型カプセルを開発した。貴金属性のチューブ内に置かれたサンプルは、前後に置かれた「観察窓」の機能を兼ねている2つの単結晶ダイヤモンドの蓋を通し、X線ラジオグラフィにより直接観察される。比較的低圧力で含水マグマとフルイドの2相が共存する条件下では、どちらかの相がもう片方の相の中に球形に存在するのが観察される。一方、高圧になると含水マグマとフルイドの共存領域は狭くなり、ある圧力(第2臨界点)以上では両相完全に混和するため、X線透過像において球形の相は観察されない。この様にして、本研究ではペリドタイト-H_2O系及び、玄武岩-H_2O系等における第2臨界点を決定した。 また、同様の新型サンプルカプセルを用いて、含水マグマの粘性測定も行った。サンプルカプセル上部にあらかじめ試料と共にセットしておいた貴金属球の含水マグマ中での落下速度をX線ラジオグラフィにより直接観察し、ストークスの法則からマグマの粘性を見積もるといった手法である。現在までに実験は全て終了し、得られたデータを解析中である。 本研究の第2臨界点に関する成果はGeochimica et Cosmochimica Acta誌に掲載され、その掲載号の表紙を飾った。また、アメリカ地球物理学会Fall meetingにおいては、招待講演として口頭発表を行った。
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