2004 Fiscal Year Annual Research Report
衝突イジェクタの放出パターンと彗星核の強度:太陽系小天体探査への応用
Project/Area Number |
16740255
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
城野 信一 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (20332702)
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Keywords | 彗星核 / 粉体 / 変形特性 |
Research Abstract |
彗星核の基本的な物性を理解することを今年度は目標として研究活動を行った。 彗星核は粉体で構成されている。粉体の変形特性が衝突の際のイジェクタ放出パターンを大きく左右する。粉体の変形特性を明らかにすべくモデルを構築し、数値シミュレーションを行った。概要は以下の通り。単純のため二次元系を考える。さまざまな半径をもった円盤を四角形の箱に充填する。力をかけると円盤は力学的に安定な配置を構成する。この状態から箱をじょじょに大きくしていく。箱が大きくなるにつれ、円盤の間に隙間ができて円盤の配置がえが可能になってくる。箱の大きさとともに、配置がえの起こりうる数がどのように大きくなるのかを数値計算により明らかにした。この結果、箱の大きさの増分のほぼ0.5乗に従って配置がえの数が増加していくことが明らかとなった。この結果は6月に参加したGordon Research Conference on Granular & Granular-Fluid Flow(米コルビー大学)にて発表した。 研究上の議論を頻繁に行っている独イエナの研究グループが、ミクロンサイズの粉体を圧縮した際の圧力-密度曲線を室内実験で求めた。そこで、Sirono and Greenberg(2000)において導出された理論曲線が実験結果を再現できるかどうか試みた。その結果、理論曲線はよく実験結果を再現することが示された。実験で観察された急激な圧力上昇が再現できていることが特筆すべきことである。この実験結果を組み込んで彗星核の衝突数値シミュレーションを行ったところ、急激な圧力上昇は実効的に粉体の最密充填密度を低下させる効果に働くことが明らかとなった。この結果は2月に行われた研究会(特定領域研究「形外惑星」ダスト班キックオフミーティング)にて発表した。
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