2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740256
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 洋一 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (70332757)
|
Keywords | 惑星形成 / 星形成 / 観測天文学 |
Research Abstract |
1.すばる望遠鏡と、そのコロナグラフ(CIAO)を用いて、おうし座分子雲に付随するTタウリ型星を系統的に探査した。その結果、ぎょしゃ座AB型星の周囲に、渦巻状の原始惑星系円盤を世界で初めて検出した。渦巻状の構造は重力的に不安定で、形態を維持することは困難だと考えられる。この原始惑星系円盤の外側にあると推測される、エンベロープからの定常的な物質の流入があることが推測できた。惑星の形成現場である原始惑星系円盤は、中心星を対称としてスムーズな構造をしているものと考えられてきた。今回の、この渦巻状の原始惑星系円盤の発見は、惑星の形成過程の多様性を示唆するもので極めて重要なものである。この研究結果は、新聞などで大きく取り上げられた。 2.同じく、すばる望遠鏡とCIAOを用いた探査の過程で、おうし座DH星に付随する原始褐色矮星を発見した。この天体は、主星から330天文単位離れており、過去の観測と照らし合わせて、DH星と重力的に系をなすことを確かめた。また、すばる望遠鏡を用いた近赤外分光観測の結果、スペクトルには深い水の吸収バンドとカリウムやナトリウムの吸収線があることがわかった。これらは天体が非常に低温であることを意味する。最新の恒星大気モデルや進化トラックと比較することで、この天体は木星の40倍の質量を持つ、若い褐色矮星であることが判明した。このような伴星型の若い褐色矮星は、今までに3例しか発見されておらず、今回の発見は褐色矮星の形成過程の解明に重要な知見をもたらすものと考えられる。また今回の発見から、一木星質量程度の原始太陽系外惑星が、今回の観測手法で十分に検出できることが確認できた。この研究結果も、新聞などで大きく取り上げられた。
|